ニュース速報から鼓が

ニュース速報の音が聞こえてハッとテレビを振り返る。ウィルスが猛威をふるうこのご時世、いつなんどき何があるかわからない。そんな感じで神経研ぎ澄ませてステイホームしてきた昨今なのだけど、ここ1ヶ月そのニュース速報に振り回されている。オリンピックとパラリンピックです。

速報が入ったぞ…!と箸を運ぶ手を止め、じっとテレビを見つめると、誰かがメダルを取りましたよというニュース。めでたい。めでたいのだろうけど、心の中には半押しになったエマージェンシーのスイッチがあるのだ。速報にハラハラするのはこっちの勝手かもしれないが、かといって「またメダルでしょ」と速報を狼少年するわけにもいかない。「メダルを取ったぞ〜」と走ってくる少年。ちょっとかわいいけどもだ。

じゃぁこうしてみてはどうだろう。ニュースの内容によって速報の音を変えるのだ。事件事故災害などは今まで通りでいい。メダルを取ったとかめでたいニュースなら鼓をひとつふたつ鳴らす感じでどうか。テレビから急にポポポン!と鳴ったらめでたい感じがするんじゃないか。世界遺産に認定されたらポポポン!ノーベル賞を受賞したらポポポン!GDPが回復したらポポポン!景気がいい。

ただ問題なのは何をもって「めでたいニュース」とするかどうかだ。衆議院解散とか「えらいこっちゃ」の人もいればポポポン!の人もいるだろう。そういえばテレビに出る気象予報士は「いい天気」とは言わないらしい。農家をはじめ雨を欲している人もいるので、晴れ=いい天気ではないからだそうだ。そうなると金メダルを取ったニュースも全てポポポン!とはいかないかもしれない。金メダルを噛みたいほど憎い人もいるかもしれない。

もういっそ音がなくていいかもしれない。テレビの上を無音で右から左に流れてくれたらいい。長い文章は疲れるから短文にまとめてほしい。見逃すと困るから同じもの2回流してほしい。そういうのどっかで見た気がする。「まもなく三河安城」とかも流れていた気がする。