欲望を止めておく弁がうっかり緩んだだけだった

「会社辞めたい」「やせたい」「お金ほしい」。大人の欲望は底が無い。

 

2息子もテレビCMでおもちゃやゲームが映ると「これほしい~」と言う。雑誌(てれびくんとか)の懸賞コーナーも好きだ。おもちゃが狭い誌面いっぱいにところ狭しと並んでいるのがたまらないらしい。勢い余って「たまらんコーナー」と名付けている。「たまらん……」と眺めている。

さて、子どもがおもちゃを指して「ほしい~」と言うと、親としては「誕生日になったらね」と引き延ばしたり、「この前買ったでしょ」といさめたりすると思う。二つ返事で「よし買おう」とはなかなかならないだろう。そうなったら次のCMでもその次のCMでも同じ事が起こる。子どもの欲望も底が無いが、大人の財布には底があるので困る。

2息子にも対してもやはり同じようにいさめるのだけど、彼の言い分はこうなのだ。

 

「ほしいと言ってるだけで、買ってとは言ってない」

 

これは保育園時代に仮面ライダーブームが来ていたときからそうで、彼にとっては「ほしい」という気持ちをそのまま口に出しているだけだと言う。だから「この前買ったじゃん!」とか怒らないでほしいと。確かに買ってほしいときはこっちの目を見て「買って~」と言う(それはそれでいさめるのだけど)

「ほしい」という気持ちを口に出しているだけなのに、「ダメ」と言われるのは筋が合わない。気持ちを否定されるのはちょっと腹も立つだろう。ほしい=感情と、買う=行動は別なのである。

これはたぶん大人もそうで、「会社辞めたい」や「やせたい」も気持ちがそのまま口から出ている状態なのだと思う。いつもはそういう言葉を止めている弁がゆるんじゃっているのだ。

そこで「辞めたらいいじゃん」とか「じゃぁ運動したらいいじゃん」とか外野から言うのは筋が合わないのだ。なぜならそれは「行動」だから。そんなことはわかっていて、ただただ感情がするりとアウトプットされているだけなのだ。

というわけで、小2息子が「ほしい~」と言ったときは、なるべく「ほしいね~」と共感するようにしている。「それはどういうやつなの?」と聞かせてもらうこともあるし、「あ、それなら自分で作れるんじゃない?」と提案することもある(小2息子は工作も大好き)

 

でも「会社辞めたい」という人に「それなら自分で会社作れるんじゃない?」と返すのは違うと思うので気をつけたい。